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陥没瘢痕・拘縮の形成手術の終了を待って症状固定と認めさせた事例

事案の概要

 中学校に入学したばかりの被害者(13歳/女性)が通学途中のバス停で待っていたところ加害車両が前方不注意で時速60キロでバス停に突っ込み、右下腿脛腓骨開放骨折等の傷害を受け、右足切断は免れたものの、1年間の入院、7年間の通院を行った。地元の病院では、事故後3年で症状固定の診断がなされた。しかし、右下腿瘢痕及び瘢痕拘縮の形成治療のため、関西から東京の慶應義塾大学病院に3年半余り入通院して治療を受けた。大きな争点は症状固定の時期であり、保険会社側は形成治療は症状固定後の治療であり、賠償の対象外であると争った。

解決方法・内容

 判決では、慶應義塾大学病院における形成治療における治療方法は瘢痕に対する医学上一般に承認されたものであり、治療(手術)により瘢痕の状態が明らかに改善されていることから、症状固定の時期は同病院における治療が終了したときであると認定された。損害としては、慶應義塾大学病院における治療費120万円、付添看護費136万円、家庭教師代102万円、後遺障害(13級)逸失利益776万円、入通院慰謝料400万円、後遺障害慰謝料180万円、弁護士費用150万円等が認められ、事故日から約8年半の期間の遅延損害金も合わせて支払が命じられた。

ポイント解説

 地元の市民病院や日赤病院が陥没瘢痕・拘縮の形成手術を行っても改善する可能性が低いとか、かえってリスクを負うことになるとして匙を投げた状態で、時間と費用をかけて遠方の病院での治療を行ったことに対する評価が得られた。形成手術自体は特別な方法ではなく一般的なエキスパンダー法により実施されたが、病院・医師の技術と経験に差が出たものと思われる。思春期の女性が下腿という露出する部分に残る目立つ陥没瘢痕を目立たなくさせるという意味では、日常生活を快適に送るために支障となる外傷を治療し、社会復帰を助けたり、生活の質を向上させるという形成外科の目的に沿うものであったといえる。事故から8年半の遅延損害金は大きく、損害の1.425倍(0.5×8.5=4.25)にもなった。

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