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自賠責保険が非該当とした後遺障害を裁判で逆転認定

事案の概要

 被害者(63歳/女性)は、本件事故により頸部挫傷、腰部挫傷、右肩・上腕打撲挫傷等の傷害を負った。事故当時、加齢による腰部脊柱管狭窄症を有していたが、腰部痛などの自覚症状はなかったところ、本件事故を契機に痛みなどの症状があらわれるようになり、腰椎固定手術等の治療を行った。しかし、臀部痛や下肢痛等の症状が残存したたため、自賠責保険に後遺障害の認定請求を行ったところ、症状と事故との相当因果関係が明らかでないことを理由に非該当とされた。そこで、自賠責保険に対する異議申立や自賠責保険の紛争処理機構に対する不服申立を行ったが、いずれも否定されたことから訴訟を提起した。

解決方法・内容

 判決は、被害者が提出した主治医の「本件事故前からあった腰部脊柱管狭窄に本件事故が重なり、座骨神経痛を来した」という意見書を重視して、被害者には事故前から腰部脊柱管狭窄症があり、これにより脊髄や神経根が圧迫され神経症状を起こしやすい状態にあったことは認めつつも、事故前はその症状が発現していなかったが、事故によりその症状が顕在化したことを認めて、事故と後遺障害との相当因果関係を肯定し、①臀部痛、下肢痛は「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級)、②脊椎固定術による脊柱の変形は「脊柱に変形を残すもの」(11級)の認定を行った。その上で、本件事故前から腰部脊柱管狭窄症という疾患があったことが治療期間の長期化や後遺障害の発生に大きく寄与したという事情を考慮し、40%の素因減額を行い、後遺症損害として420万円を認定した。

ポイント解説

 自賠責保険では、加齢や既往症など症状に対する被害者側の事情が考えられる事案では、事故と後遺障害との相当因果関係が明らかでないとされ、非該当とされることが往々にしてある。こうした自賠責保険の硬直的な取扱に対しては、裁判に訴えることで、被害者側の事情(素因)と事故の影響を割合的に考慮することにより、実態に即した解決が可能となる。本件では、自賠責保険では後遺障害は全く認定されなかったところが、裁判では420万円を賠償を勝ち取ることができた。

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