自賠責保険・共済紛争処理機構を利用することにより、後遺障害等級12級が11級(併合)に変更され、保険会社の示談提示額が大幅に増額した事例
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- 担当弁護士
- 飯田 昭
事案の概要
被害者(40歳/女性)は、自転車で走行中、加害車両に追突され、入院2日間、通院実日数235日間の傷害を受け、①肋骨の変形、②歯牙障害、③右頬部の瘢痕等の後遺障害を残した。自賠責保険の後遺障害等級は12級であり(①についての後遺障害は認められていなかった)、保険会社からの示談提示額は既払金の他に100万円程度であった。そこで、①につき後遺障害を認めるよう、自賠責保険に対する異議の申立を行ったが、これが認められなかったため、紛争処理機構に調停の申立を行った。
解決方法・内容
異議申立に際し提出した肋骨部分の写真と弁護士作成の意見書により、肋骨が浮き出していることが明らかになり、認定基準に照らし、裸体になったとき変形が明らかに分かる程度であると評価され、「ろく骨に著しい変形を残すもの」として12級5号の認定を得た。すでに認定されていた右頬部の瘢痕(12級15号)と併合して11級の認定となったことから、当初提示額100万円だった示談金を最終的に1100万円に増額させて示談を成立させることができた。
ポイント解説
自賠責保険に対する異議申立において、患部の新たな写真、弁護士作成の意見書、本人の陳述書を提出したが、認められなかったものの、あきらめず更に紛争処理機構に対する申立を行った。異議申立が通らなかった場合には、再度の申立ができるが、新たな主張や立証資料の提出がないと従前の判断が覆らないことから、紛争処理機構に対する申立に意味があった。紛争処理機構による紛争処理の結果は自賠責保険制度における最終的な判断と位置づけられていることから、被害者としては、新たな資料を提出する場合には、まず異議の申立を行い、その上で紛争処理の申請をするのがよいと思われる事案であった。