外貌醜状で高額の賠償金-ドライブレコーダーも活用-
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- 担当弁護士
- 谷 文彰
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1 逸失利益がよく争われる「外貌醜状」
「外貌醜状」というのは,通常周りの人の目に触れる部位(顔や頭,首など)に傷跡が残ってしまった状態をいい,交通事故に関しては,傷跡の大きさによって後遺障害等級が決まります。12級の場合は「顔に10円玉より大きい傷跡が残ること」,9級の場合は「長さ5センチ以上の人目につく程度の線状のあとが残ること」といった具合です。
この外貌醜状も後遺障害には違いないのですが,労働能力に直ちに影響するのかという問題があり,逸失利益の認定において争われることがよくあります。例えば手足に痛みが残ったり,その機能を喪失したりすれば労働能力にマイナスの影響があることは分かりやすいですが,外貌醜状はそうではなくあくまでも外見上のことなので,影響がないのではないかというのです。
モデルなど外見が重要な職業の場合は労働能力の減少が認められやすいですが,そうでない通常の職業の場合にどれだけ賠償してもらえるかが課題になるのです。
2 一定の逸失利益を認めさせる
今回の方も外貌に傷が残ってしまい,後遺障害としては9級と認定されました。モデル等の外見が重要と一般的に取り扱われる職業ではなかったため,逸失利益が問題になりましたが,事故後のご本人の精神状態などを詳細に明らかにし,全額ではありませんが一定の損害を認めさせることができました。
3 ドライブレコーダーを分析して過失割合を有利に
また,損害額の算定では過失割合も大きな要素になります。過失割合が10%違えば賠償額も10%違ってくるからです。損害額全体が1000万円であれば,その10%なので100万円も違ってくることになります。
当初相手方は,当方30%相手方70%と主張していましたが,ドライブレコーダーを入手して分析したところ,より相手方の過失が大きいのではないかということで主張を追加しました。それでも相手方は難色を示していましたが,幾度かのやり取りの後で当方の主張を受け入れ,最終的に当方20%相手方は80%という過失割合で決着しました。
ドライブレコーダーによる記録とその分析の大切さを改めて教えてくれたケースです。