よくある質問
交通事故事件に関するQ&A
4.症状固定と言われたら
Question
保険会社から「そろそろ症状固定して下さい」と言われて書類を渡されたのですが、従わないといけないのでしょうか?もう治療は受けられないのですか?
Answer
治療を続けた結果、すっかり元どおりまで回復(完治)するのが一番ですが、残念ながらどうしても症状が残ってしまう場合があります。このように、これ以上治療を継続しても症状の回復が見込めない状態になったことを「症状固定」といい、残存してしまった症状のことを「後遺症」と呼んでいます。
症状固定の診断を受けた後でも、なお治療を受けられるという点では変わりはありませんが、かかった治療費などの支払いを受けられるかどうかという点で違いがあります。その診断を受けると治療期間が終了したものと扱われますので、賠償の範囲も確定し、それ以後の治療費や休業損害などは原則として支払いを受けることができなくなるのです。
このように、症状固定かどうかは非常に重要になりますので、保険会社の言うことに従う必要はありません。自分の症状はご自身が一番よく知っているでしょうし、医学的に症状固定をしたかどうかは主治医が診断すべきことですから、主治医とよく相談して判断して下さい。
Question
主治医から症状固定を告げられたのですが、後遺症が残ってしまいました。これからどうすればよいのでしょうか?
Answer
後遺症とは、治療後もなお残存してしまった機能障害や神経症状などのことを言います。
交通事故の障害によって後遺症が残ってしまった場合、自賠責保険会社に申請して後遺障害の認定をしてもらいましょう。後遺症の内容や程度により、1級から14級までの後遺障害等級表が定められており、この等級表に基づいて等級が認定されます。等級によって慰謝料等の金額が定められており、賠償される金額が変わってくることになるため、どの等級と判定されるかは非常に重要といえます。
なお、後遺症と後遺障害はほぼ同じ意味なのですが、厳密には、後遺症のうち一定の要件を充たしたものだけが後遺障害と呼ばれて区別されています。後遺症のうち、認定申請をして認められたものが後遺障害と呼ばれると理解しておくとよいでしょう。
Question
後遺障害の認定を申請する際に気をつけるべきことはありますか?
Answer
自賠責保険に後遺障害の認定を申請する際に必要な書類としては、自賠責支払請求書や印鑑証明書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、後遺障害診断書などが必要になりますが、このうち、主治医に作成してもらう後遺障害診断書については、気をつけるべき点があります。
それは、請求する前に、診断書の内容を必ずチェックすることです。主治医は必ずしも後遺障害の認定申請に詳しいわけではありませんので、行った検査や診断書の記載内容が十分でない場合もあります。必要な検査が行われているか、自覚症状が正確に記載されているか、他覚的所見(画像や検査によって客観的に確認できる症状や変化のことです)についても記載されているかなどは、後遺障害の認定に大きな意味を持ちえます。弁護士と相談し、内容が不十分である場合には改めて診断書の作成を依頼して下さい。
Question
後遺症が残ってしまったため、自賠責保険に認定申請をしたところ非該当とされてしまいました…
Answer
自賠責保険による後遺障害の等級の認定に不服がある場合は、異議申立をすることができます。後遺障害等級の認定が正当でない理由を書いた書面と、その根拠となる資料を提出しましょう。根拠資料としては、追加の診断書や画像、新たに行った検査の結果などが考えられます。適切な医師意見書を作成することができるかどうかが決め手になりますし、実務を踏まえた弁護士の意見書も重要になるでしょう。
異議申立てがあると、自賠責保険審査会で審査が行われ、審査の結果が通知されることになります。
その結果になおも不服がある場合は、財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(大阪にも支部があります)に紛争処理の申請をすることが可能です。
Question
後遺障害の等級の認定を申請したところ、14級の認定を受けたのですが、この判断が妥当かどうか分かりません。どうしたらよいでしょうか?
Answer
一度弁護士に相談してみて下さい。後遺障害の等級の認定に不服がある場合には異議申立をすることができ、その結果、等級が繰り上がるケースもあります。
例えば、追突事故などに多い頚椎・腰椎捻挫、外傷性頚椎・腰椎症候群などの場合の痛み・しびれなどについて、最初は単なる神経症状として14級と認定されたものが、異議申立の結果、他覚的所見(客観的な医学的証拠)があるとして12級の頑固な神経症状に繰り上がる場合があります。そうすると、通常、慰謝料や逸失利益が約3倍になりますので、弁護士と相談の上、異議申立手続の活用を積極的に検討してみて下さい。