弁護士紹介
荒川 英幸
- あらかわ ひでゆき
- 弁護士登録年度 1985(昭和60)年
- 生年 1956年(昭和31)年
どのように交通事故事案に取り組んでいるか
死亡や重度後遺障害の人身事故から物損事故まで幅広く事件を担当しています。
現在、30件前後の交通事故事件の手持件数があります。
交通事故では、いまだに被害者を騙そうとする任意保険会社の対応が後を絶ちません。自賠責保険(強制保険)の枠を上回る損害があると判っているから任意保険会社が動いているのに、被害者には「当社の基準より自賠責保険の基準が有利なので、自賠責保険の基準で示談しましょう」などと平気で言います。それで示談が出来れば、任意保険会社は全額を自賠責保険から回収し、1円も自腹を切らずに済むのです。
下記の死亡事案の「好意同乗減額」(全くの他人間の事故でなく、知人・友人の好意で車に乗せてもらって事故に遭ったのだから、賠償額が減額されるべきだという理屈)のように、被害者・家族の知識不足につけ込んでくる例もあります。
また、自賠責保険で後遺障害が認定されても、任意保険を通じたルート(一括請求手続)に乗っている限り、1円も自賠責保険金が払われず、兵糧攻め状態で示談を迫られます。このルートを断ち切って被害者請求で自賠責保険金を受け取り、じっくり闘えばよいのです。
後遺障害被害者にとって、自賠責保険での障害認定を獲得すること、より高い等級に認定されることが何よりも重要です。仮に、自賠責保険でだめでも、訴訟での認定獲得の道があります。
痛みや痺れなどの神経症状の場合、14級(医学的に説明できる)と12級(医学的な証拠がある)では、自賠責保険金が75万円と224万円、裁判所基準の慰謝料が110万円と280万円、労働能力喪失率が5%と14%、労働能力喪失期間が裁判所の和解レベルで5年と10年以上という実に大きな差になります。
そのため、弁護士は、依頼者の障害の症状や日常生活・仕事への支障を、24時間の生活サイクルの中で細部まで具体的に聞き取る必要があります。更に、後遺障害を見落とさない医学的知識が必要となり、後遺障害を争う裁判では、あたかも医学論争のような状況となります。
当事務所の強みは、何と言っても、日本整形外科学会などが認定した高度の資格と豊富な臨床経験を有する整形外科専門医との連携体制があることです。
任意保険会社が出してくる意見書を書く医師の中には、殆ど臨床をしていない医師や、整形外科・麻酔科ではない医師もいます。
そのため、臨床が判っていなかったり、鎮痛補助剤(解熱性鎮痛剤と麻薬性鎮痛剤以外で、鎮痛作用を発揮する薬物の総称で、抗うつ薬や抗てんかん薬などが用いられる)の使い方も知らず、「抗うつ剤が出されているから、うつ症状だ」などと平気で書いてきます。
これに対して、臨床に裏付られた正しい医学的判断を示すことにより、後遺障害の認定や格上げが可能になりますし、仮に、それがかなわない場合でも、慰謝料などを増額した裁判所和解を獲得することが可能になります。
取り扱った主な交通事故事案
- 死亡事件で、訴訟提起により、相手方任意保険提示額よりも2000万円を超える和解や判決を獲得した事案(複数)
- 死亡事件で、裁判所の慰謝料通常基準よりも800万円を超える慰謝料の認定を獲得した事案
- 自賠責等級別表(以下、「別表」)第1・1級の重度後遺障害の被害者について、相手方任意保険の主張する好意同乗減額割合に理由がないことを多数の判例分析により示し、その点だけで約3000万円の賠償増額を得た事例
- 別表第1・2級の重度後遺障害の被害者で、相手方任意保険提示額よりも4000万円を超える示談解決を実現した事案
- 自賠責保険が、「既存障害」を理由として事故と後遺障害との因果関係を否認したことに対し、異議申立てを行い、別表第2・7級の認定を獲得した事案
- 外傷性頚部症候群の被害者で、自賠責保険の認定が別表第2・14級であったことに対し、筋電図検査を受け、その異常所見を証拠として異議申立てを行い、同12級を獲得し、総額で約500万円の増額となる示談を獲得した事案
- 肩関節の機能障害の事例には、特に力を入れています。
肩関節は、骨折や脱臼のない打撲であっても肩関節周囲炎になりやすく、その痛みに伴って関節拘縮が生じて、関節の動きが制限されます。自賠責保険は、骨折や脱臼のないことを理由に非該当としますが、機序(医学的メカニズム)を立証すれば、関節可動域が怪我をしていない方の肩の3/4以下であれば別表第2・12級、1/2以下であれば同10級を獲得できます。障害認定の対象となる関節の運動は、主要運動で、多くの関節では1つですが、肩関節、せき柱(頚部)、股関節については主要運動が2つあり、認定の可能性が広がります。
下記の〈解決の一例〉以外でも、自賠責保険への異議申立てにより別表第2・12級を獲得しています。 - クラッシュ症候群の被害者で、深部静脈血栓症の治療を受けていること自体が医学的証拠であるとして、別表第2・12級の自賠責認定を獲得した事案
- 既往の頚椎症の治療中に交通事故受傷した被害者について、自賠責保険は非該当としたが、訴訟提起により、別表第2・14級の認定(但し、素因減額あり)を獲得した事案
- 外傷性頚部症候群のバレー・リュー型(頭痛、めまい、耳鳴り、聴力障害等の症状が主体となるもの)の被害者について、自賠責保険は非該当とする態度を取っている中、訴訟提起により、別表第2・14級の認定を獲得した事案
解決の一例
弁護士の介入により後遺障害認定等級の大幅な格上げを獲得した事例(典型2例)
事案の概要
車を運転して停止中に脇見運転の車に追突され、加害者が意識を失うほどの激しい事故であった。事故後、頚、頭、背中、右肩の痛みと手のしびれが続き、特に右肩の痛みは激しく、次第に右肩が動かなくなっていった。診断名は、頚椎捻挫、外傷性右肩関節周囲炎、右肩関節拘縮で、頚のMRI検査や末梢神経伝導速度検査でも異常が認められた。
解決方法・内容
自賠責保険の認定は最低の別表第2・14級であった。
異議申立を行い、右肩の後遺障害が同10級と認定され、一気に4級繰り上がった。
しかし、頚椎捻挫に伴う後遺障害が同12級に該当することは認めなかったので、訴訟を提起し全体で別表第2・併合9級とする和解が成立した。
最終的に5級の繰上げとなり、14級のままだった場合の推定賠償額と比較して約2000万円もの賠償増額を獲得した。
ポイント解説
依頼者の強い意思と主治医の協力(自賠責保険の認定の不当性を臨床の実際から示す積極的意見書)に支えられた。
事案の概要
重大な事故で多発骨折を負い、10週間にもわたってベッド上不動化(身動きできない状態)を強いられる苦痛が続いた。自賠責保険でさえ6種類の後遺障害を認定して併合10級としたが、上記の不動化などのために腰が通常の人の3分の1しか曲がらない障害が残ったにもかかわらず、これを非該当とした。なお、腰の機能障害の場合は、肩の場合のように比較できるもう一つの関節がないので、参考可動域角度との比較となる。
解決方法・内容
異議申立は時間の無駄と考えて、訴訟を提起し、関節拘縮や筋拘縮が引き起こされたメカニズムを判りやすく解説してもらった協力医の意見書を提出した。更に自賠責保険の認定のままであれば、上記事例との著しい不公平と不条理が生ずることを強調した。
裁判所は、胸腰椎の運動障害を別表第2・8級と認定し、全体として併合7級とする和解案を提示し、和解が成立した。訴訟をしたことにより3級の繰上げが獲得できた。
10級のままだった場合の後遺障害の損害推定額と比較して約1380万円もの認定増額を獲得した。
ポイント解説
第1の事例の経験があったことから確信をもって主張でき、主治医の診断書と協力医の意見書に支えられた。
所属歴のある主な団体、組織
- 日本交通法学会会員
- 医療事故情報センター正会員